歯周組織再生療法にはどんな種類がある?メリット・デメリットや適応症例、費用を解説
2024/09/20
こんにちは、甲府市の歯医者、降矢歯科クリニック歯科・矯正です。
歯周組織再生療法は、歯周病などで失われた歯ぐきや骨を再生する治療法です。
歯周病は進行すると歯を支える骨や歯ぐきが破壊され、最終的に歯が抜けてしまいます。
しかし近年では、失った歯ぐきや骨を再生させることが可能となりました。
歯周組織再生療法の種類、そしてそれぞれのメリット・デメリット、適応症例について解説します。
歯周組織再生療法とは
歯周組織再生療法は、歯周病の進行によって損なわれた歯周組織、具体的には歯ぐきや歯槽骨を再生させるための治療法です。
この治療は、失われた歯周組織を再生して歯の機能と見た目を補い、歯周病の進行を防ぐことを目的としています。
GTR法
GTR法(Guided Tissue Regeneration)は、人口骨と特殊なメンブレン(膜)を使用して失われた歯周組織を再生させる治療法です。
治療の流れとしては、まず歯周ポケット内の汚れをきれいに除去します。
その後、人口骨を詰め、その上からメンブレンで覆い、歯周組織の再生を待ちます。
メンブレンは、非吸収性の場合は一定期間後に取り外す処置が必要となりますが、吸収性の場合は一度の外科手術で済みます。
GTR法のメリットは、広い範囲の再生を促すことができるため、ほかの治療法では難しい状態でも治療ができる点です。
また、保険適用となるため費用の負担が軽減されるというメリットもあります。
エムドゲイン法
エムドゲイン法は、エムドゲインという特殊なたんぱく質を使用して歯周組織再生を促す治療法です。
治療の流れとしては、はじめに歯根部分のクリーニングを行います。
その後、歯槽骨が溶けてしまった部分にエムドゲインを塗布し再生を促します。
エムドゲイン法のメリットは、外科手術が一回で済む点です。そのため、患者さんの負担が少ないという利点があります。
しかし、保険適用にはなっておらず自由診療のため、治療を受ける場合は費用負担が大きくなるというデメリットがあります。
また、すべての重症化した歯周病に適応されるわけではないため、治療を希望する場合には歯科医師の診断のもとでエムドゲイン法が適応となるかを確認する必要があります。
リグロス(トラフェルミン使用法)
リグロス(トラフェルミン使用法)は、細胞成長因子を利用した歯周組織再生療法です。
トラフェルミンは細胞の活性化を促す作用があり、患部に塗布することで歯肉や骨の再生を助けます。
治療の流れとしては、エムドゲイン法と基本的に同様であり、歯根部分のクリーニングを行った後にトラフェルミンを塗り込み、再生を待ちます。
トラフェルミン使用法のメリットは、エムドゲイン法と同様に外科手術が一度で済む点です。
また、リグロス(トラフェルミン使用法)は保険適用となります。
デメリットとしては、適応できる症例が限られることや、変化を実感できるまでの期間が長いことなどが挙げられます。
歯周組織再生療法にかかる費用
歯周組織再生療法は外科的な手術となるため、費用が気になる方は多いかと思います。
保険が適用されるGTR法、トラフェルミン使用法の場合は、一本の歯当たり3割負担で5,000円から10,000円ほどが目安です。
自由診療のエムドゲイン法の場合、歯科医院によって費用は異なりますが、目安としては一本の歯当たり50,000円から10万円ほどとなります。
これらは、歯周病の進行度合いや同時に行う処置などによっても上下しますので、詳細は歯科医師に確認しましょう。
また、歯周病の場合は歯一本のみではなく、複数の歯に症状が出ていることが多いため、その本数に応じて費用がかかる点も覚えておきましょう。
歯周組織再生療法のメリット
歯周組織再生療法にはさまざまなメリットがあります。
まず、失われた歯周組織が再生することで、歯の機能と見た目の改善が期待できます。
かむ力が増えることで食事がしやすくなったり、歯ぐきのハリが戻ることで口を大きく開けて笑うことができるようになったりといった、日常生活でのメリットにもつながります。
また、歯周組織再生療法は、歯周病以外でも使用されることがあります。
例えば、抜歯後にくぼんだ歯ぐきの改善を目指す場合や、かぶせ物を入れた箇所の見た目が気になるといった場合にも、歯周組織再生療法を利用して歯ぐきの見た目を整えることができます。
歯周組織再生療法のデメリット
一方で、歯周組織再生療法にはいくつかのデメリットもあります。
まず、費用が高額であるケースが多い点です。
GTR法とトラフェルミン使用法は保険適用になりますが、複数の歯に治療が必要な場合は総額としては負担が大きくなります。
また、適応外の症例もあります。
広い範囲で歯槽骨が溶けている場合や歯周病がかなり重症化している場合は適応できない場合が多く、また治療を行ったとしても歯ぐきが元通りの状態になるというわけではありません。
さらに、外科手術が必要なため、感染症や出血のリスクも伴います。
歯周病の重症化を防ぐためには
歯周病の重症化を防ぐためには、日常的なセルフケアが欠かせません。
セルフケアが十分にできていない場合には、歯周組織再生療法が受けられない場合も多いため、まずは日々の歯磨きをきちんと行う習慣をつけるようにしましょう。
歯ぐきがやせて歯と歯の間に隙間ができている場合も多いため、デンタルフロスや歯間ブラシを使用して、歯と歯の間の汚れをしっかりと取り除くことも重要です。
また、定期的に歯科検診を受け、こまめに歯周病の進行状態を確かめるようにしましょう。
毎日歯磨きを行っていても、歯垢や歯石は少なからず蓄積していってしまいますので、定期的に歯科医院での歯石取りを受けることが大切です。
また、タバコは歯周病を悪化させる原因となるため、禁煙を心がけることも重要です。
適度な運動やストレス管理を行い、全身の健康を維持することも歯周病予防につながります。
まとめ
歯周組織再生療法には、GTR法、エムドゲイン法、リグロス(トラフェルミン使用法)など、さまざまな方法があります。
それぞれの治療法は、適応症例や保険適用の有無などが異なりますので、歯周病が進行している場合にはどの治療が自分に合っているのかを歯科医師に確認しましょう。
また、日常的なオーラルケアと定期的な歯科検診を通じて、歯周病の重症化を防ぎましょう。
当院では、歯周病治療は全て歯周病専門医である院長が担当しております。
専門医としての知見を活かして患者さまの症状にあった治療法をアドバイスさせていただきますので、まずはお気軽にご相談にいらしてください。
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