健康を左右する災害時のデンタルケア。重要性やケア方法を解説
2025/10/20

こんにちは、甲府市の歯医者、降矢歯科クリニック 歯科・矯正です。
突然訪れた非常事態において、健康管理がおろそかになってしまったり、健康管理にまで気が回らなかったりすることは仕方のないことです。
特に、災害時の限られた資源と環境の中で十分なデンタルケアを行うことはとても困難ですが、歯や口腔内の健康状態は全身の健康に大きく影響します。
そこで今回は、災害時におけるデンタルケアの重要性やその方法について解説します。
災害時のデンタルケアの重要性

災害が起こると、その規模や種類によっては避難生活を余儀なくされたり、水不足に見舞われたりと、厳しい環境が続くことがあります。
このような状況では、水分補給が十分にできないことが多く、口やのどの粘膜が乾燥しやすくなります。
乾燥した粘膜は、ウイルスが体内に入り込みやすい状態を作り出してしまいます。
また、十分に口内を清潔に保つことができなければ、口内炎や歯ぐきの炎症が起こりやすくなり、食事をとることが難しくなります。
それにより、体力や免疫力が低下し、さらに風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるという悪循環に陥ります。
特に体力の低下した高齢者の場合、誤嚥性肺炎などのリスクが高まり、全身の健康状態に重大な影響を与える可能性があります。
過去の災害事例を振り返ると、「災害関連死」の多くが、肺炎を含む呼吸器の病気に起因しています。
そのため、口腔内を清潔に保つことは命を守るために欠かせません。
普段からの予防はもちろん、非常時に備えた具体的な対策を理解し、備えておくことが重要です。
デンタルケアができないことによるリスク
誤嚥性肺炎

災害時の主な関連死因の一つが、誤嚥性肺炎です。
誤嚥性肺炎は、食べ物や飲み物、唾液、胃液などが誤って気管に入り、さらに口内で繁殖した細菌が一緒に肺に運ばれることで発症するものです。
特に、生理的機能が衰えて飲み込む力が弱くなった高齢者に多く見られます。
感染症

デンタルケアができない状態が続くと、口内の細菌が急速に増殖します。
その中には、プロテアーゼというタンパク質を分解する酵素を生成する細菌も含まれており、これがのどの粘膜を破壊します。
それにより、通常であれば咳や痰を出すことで体内への侵入を防いでいるウイルスや細菌に対する防御機能が、正常に機能しなくなり、風邪やインフルエンザのリスクが高まります。
また、歯周病菌がインフルエンザウイルスを活性化する可能性があり、これも感染症のリスクを高める要因となります。
糖尿病・高血圧
歯周病菌は歯ぐきの血管に侵入し、血糖値をコントロールしているインスリンの働きを妨げ、糖尿病の症状が悪化する一因となります。
同様に、歯周病菌が全身の血管に影響を及ぼすことで、高血圧のリスクを上昇させる可能性もあります。
防災グッズに入れておきたいデンタルケアグッズ

防災グッズには、一般的な救急用品や非常食に加え、デンタルケアに必要なアイテムも準備しておくことが重要です。
災害に備えた口腔ケア用品として、まず歯ブラシや舌ブラシを用意しましょう。
これらの基本的なケアに使用できるアイテムに加えて、歯間ブラシやデンタルフロスもあると便利です。
また、ノンアルコールタイプの液体歯磨きや洗口液は、歯磨きができない場合でも口腔内を清潔に保つために役立ちます。
そのほか、ドラッグストアや日用品店では、水を使用せずに歯を磨けるアイテムなども売られています。
水が使えない場合に備えてこういったグッズも手に入れてみてはいかがでしょうか。
また、このような日常的には使用していないアイテムを防災グッズに含める場合には、一度試しに使用しておくと、もしものときにも慌てずに使えます。
そのほか、キシリトール入りのシュガーレスガムは唾液の分泌を促し、口内を清潔に保ちやすくする作用があります。
非常食としては心もとないですが、用意しておくと口さみしいときなどにも便利です。
また、入れ歯を使用している方は、入れ歯用のケア用品も忘れずに入れておきましょう。
さらに、マスクや手袋は、感染症対策としても役立ちます。
歯ブラシがない場合のデンタルケア

歯ブラシが使えない場合、食後には30mL程度の水やお茶で口の中を十分にすすぎ、清潔なハンカチを指に巻いて歯を優しく拭くことで歯磨きの代わりにしましょう。
ハンカチの代わりにノンアルコールタイプのウェットティッシュを使うことで、より口内を清潔に保つことができるため、防災グッズにぜひ入れておくことをおすすめします。
また、デンタルリンスや洗口液も災害時に便利です。
水がない場合のデンタルケア

水が使えない場合、まずできるのがキシリトールガムをかむことです。
ガムをかむことで唾液が分泌されるため、唾液の抗菌作用や自浄作用により口内を清潔に保ちやすくなります。
また、出た唾液で口をすすぎ、口内環境をある程度整えることもできます。
キシリトールは歯垢の付着を抑制し、再石灰化を促す作用があるため、虫歯のリスクも低減してくれます。
マウスウォッシュがある場合は、それを使用することで口内を清潔に保ちましょう。
水が限られている中でも、できる限りのデンタルケアを行うことが、健康を維持するための鍵となります。
水が少ない場合のデンタルケア

水が少ない状況では、歯磨き粉の使用を控え、歯ブラシのみで歯を磨くようにしましょう。
うがいは、一度に30mLの水でうがいをするよりも、15mLを2回に分けてうがいをするほうが効率的です。
まとめ
災害時におけるデンタルケアの重要性は、日常生活とは比較にならないほど高くなります。
誤嚥性肺炎や感染症、糖尿病・高血圧などの慢性疾患の悪化を防ぐためにも、可能な限りのデンタルケアを心がけることが大切です。
特に、誤嚥性肺炎のリスクが高い高齢者の方が家族にいる場合には、防災グッズには必要最低限のデンタルケア用品を備えておくようにしましょう。
また、歯ブラシがない場合や水が限られている場合でも、水を使わずに歯を磨くためのアイテムなどを使用すると、口内をすっきりとした状態で保ちやすくなります。
ぜひこの機会に、非常時に備えた準備をしておきましょう。
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