コーラで歯が溶けるって本当?歯を守るための対策について
2021/03/01
こんにちは。甲府市の降矢歯科クリニック歯科・矯正です。
子どものころ、ご両親や大人たちから「コーラばっかり飲んでると歯が溶けるよ!」と言われたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、本日は炭酸飲料と歯との関係についてご紹介したいと思います。
炭酸飲料の取りすぎで歯が溶けることはある
「コーラで歯が溶ける」というと、半ば都市伝説のように思われているかもしれませんが、これはあながち嘘とも言い切れません。
もちろん、コーラを飲んだからと言ってすぐに歯が溶けてしまうわけではございませんが、コーラをはじめとする炭酸飲料を好んで摂取している患者さまの中には、歯が溶けていたり、すり減りが見られる傾向があるのも事実です。
その原因としては、主に下記の2つが考えられています。
炭酸飲料に含まれる「酸」が原因
従来から、虫歯の主な原因として砂糖などに含まれる糖がクローズアップされてきましたが、最近では酸性の強い食べ物や飲み物によって歯の表面を覆うエナメル質が溶かされてしまい、それによって虫歯や知覚過敏になってしまう「酸蝕歯」が注目されています。
酸蝕歯とは、酸性の強い食品などの影響でお口の中が長期間酸性に傾いた状態が続くことで、歯のエナメル質からリン酸カルシウムの結晶が溶け出してしまっている状態のことを言います。
酸性かアルカリ性かは、pH値によって示されますが、 炭酸飲料などはpH値2.2~2.9と非常に強い酸性ですので、歯を溶かすのには充分な酸を含んでいると言っても良いでしょう。
また、炭酸飲料の他にも、身体によいイメージのあるお酢やフルーツ、ワインなども酸性度の強い飲料としてあげられます。
歯のエナメル質はpH値5.5未満で溶け出すと言われておりますので、酸蝕歯のリスクを含む飲食物はコーラに限らず、意外に多いのです。
炭酸飲料に含まれる「糖分」が原因
炭酸飲料が歯を溶かすと言われるもう一つの理由として、炭酸飲料に含まれる糖分が挙げられます。
炭酸飲料は、口に含むとシュワシュワとした爽快感が得られますが、その「シュワシュワ感」は甘さを感じにくくさせてしまう特徴があるため、炭酸飲料には非常に多くの糖分が含まれている傾向があるのです。
たくさんの糖分を含む食品を摂取すると、その糖分を餌にしたミュースタンス菌(虫歯菌)によって酸が発生します。その結果、お口の中が酸性に傾き、歯が溶かされ、虫歯となってしまうのです。
糖分が多いという意味では、コーラなどの炭酸飲料は歯を溶かしてしまう原因になるとも言えますが、コーラ以外の甘い食べ物でも糖分の高いものであれば同じように歯は溶かされてしまいます。
特に、キャンディーなどのお口の中に長時間含むものや、クッキーなどの歯にくっつきやすい食べ物は、より長時間お口の中を酸性にしてしまう原因となりますので、虫歯になりやすい食べ物と言えるでしょう。
こちらも、コーラなどの炭酸飲料に限ったことではないのですが、その糖分の高さと酸性度の高さから「炭酸飲料は歯を溶かす」と言われるようになったのかもしれません。
歯を溶かさないためにはどのような対策が必要?
酸や糖は歯にとって良くないと言っても、身体にとっては必要な栄養素でもありますので、摂取しないわけにはいきません。 そこで、虫歯にならないように上手に摂取することが大切になります。
具体的には、
・酸性度や糖分の高い食べ物を摂取した後は、お茶や水などで口をゆすぐ。
・だらだら食いや間食を避け、規則正しい時間に食事をとる。
・よく噛んで食べる(唾液の分泌を促進し、再石灰化を促す)
などが挙げられます。
ちょっとした工夫で虫歯リスクを下げることができますので、ぜひ実践してみてください。
飲食以外でも、歯が溶かされてしまうことがある
上記までで、コーラなどの炭酸飲料やその他の食品により、歯が溶かされてしまう原因をご紹介しましたが、実は、歯が溶かされてしまうのは食べ物や飲み物だけが原因ではありません。
逆流性食道炎、拒食症などの内的要因
飲み物や食べ物など「外因性」の原因以外にも「内因性」の原因によって酸蝕歯は引き起こされることがあります。
内因性の酸蝕歯の場合、その主な原因は胃液です。
胃液のpH値は1.0~2.0と非常に強い酸性のため、これが口の中に流れ込むことによって酸蝕症を引き起こしてしまうことがあるのです。
逆流性食道炎や拒食症、アルコール中毒、摂食障害などで嘔吐などを引き起こすと、胃液が口の中に逆流し、歯を溶かしてしまう原因になります。
このように、歯におこる悪影響はお口の中の問題だけではなく、全身の健康とも深く結びついていることも多々あるのです。
歯ぎしりや食いしばりによる歯のすり減り
酸蝕歯とは異なりますが、歯ぎしりや食いしばりの習癖があることによって歯のすり減りが目立つ患者さまも非常に多くいらっしゃいます。
また、このような歯ぎしり、食いしばりの習癖と酸蝕歯の症状が重なると、歯へのダメージも非常に大きくなってしまうので注意が必要です。
まずは歯科医院で検査をしてもらいましょう
一言で「歯が溶ける」と言っても、実はその原因がさまざまあります。
歯が溶けてくると、歯の表面の白いエナメル質の層が薄くなり、歯が黄ばんだように見えたり、虫歯や知覚過敏などのトラブルを引き起こしやすくなります。
歯の溶け始めもそうですが、お口の中のトラブルは、初期段階ではなかなか気が付きにくいもの。定期的に歯医者さんに通い、検査やメンテナンスをしてもらうようにしましょう。
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