歯を守り、残す治療

    歯を守り、残す治療

    「他の歯医者で、抜歯が必要と言われてしまったのですが、何とか歯を残せないでしょうか?」

    患者さまから、よくこのようなご相談をいただきます。

    当院では、歯周病専門医による歯周外科治療や、マイクロスコープを使用した精密根管治療なども行っておりますので、他医院で抜歯が必要と言われた歯でも残せる場合もございます。

    しかしながら、一概に残すことが最良の治療であるとは限りませんので、場合によっては他の歯を守るために抜歯という選択肢をおススメする場合もございます。

    その場合において、なぜその歯を抜いた方が良いのか、もし残す治療をした場合にはどのようなリスクがあるのか、しっかりとご説明させていただいた上で、患者さまのご希望に沿う治療をお届けできるよう努めてります。

    歯を抜きたくないという方はもちろん、他医院で抜歯宣告されて悩んでいらっしゃる方も、まずはお気軽にご相談いただければと思います。

     

    歯を失う原因と残すための治療法

    現在日本では、歯を失う原因として一番多いのが歯周病の42%、続いて2位が虫歯32%、そして3位が歯根破折11%となっています。

    歯を残すためには、まず抜歯が必要とされた原因を知ることから始めます。 診断結果に応じて適切な治療を行うことで、たとえ抜歯が必要と言われた歯でも残せる場合も少なくありません。

     

    歯周病の場合

    歯を守り、残す治療

    歯周病は、顎の骨や歯根膜などの歯を支える歯周組織が徐々に破壊されてしまう病気です。

    破壊された歯周組織は自然に元に戻ることはありませんので、そのまま放置して症状が進むと歯を失うことにつながってしまいます。

    従来までは、歯を支える歯周組織が破壊されてしまった場合は抜歯しか選択肢がありませんでしたが、近年では医療技術の進歩により、歯周組織を再生して歯を残す治療も可能になりました。

    当院では、歯周病専門医としての知識と経験を活かし、患者さまのご希望に沿った治療をご提供するよう心がけております。

     

    人工骨移植(保険適用)

    骨を失ってしまった部分に人口の骨を移植することで骨の再生を図る方法です。

    骨の足りない部分に人工的な骨の粉末を補填し、骨造成シートをかぶせて時間を置くことで骨の再生を促す方法です。

    自家骨移植では移植骨を採取するための手術が必要となりますが、人工骨移植の場合は採取のための手術が不要ですので、患者さまの負担が少なうことがメリットとして挙げられます。

    しかしながら、骨の再生能力は自家骨に比べて低いため、治療の成功率を上げるために自家骨と混ぜて使用する場合もあります。

     

    自家骨移植(保険適用)

    自家骨移植とは、骨移植の際に人工の骨ではなく、自分の骨を移植することで骨の再生を図る方法です

    自分の骨を使用するので安全で安心できるという事、治療の成功率も高いという事が最大のメリットかと思いますが、その反面、健全な部分から骨をとる手術も必要になるため、身体への負担が大きくなってしまうというデメリットもあります。

     

    リグロス(保険適用)

    歯周病治療

    リグロス(一般名:トラフェルミン)とは、骨の再生を促す成長因子を成分とした世界初の歯周組織再生医薬品です。 2017年4月から保険適用での治療が認められた薬剤で、進行してしまった歯周病でも歯を抜かずに治療できる可能性が高まると期待されています。

    フラップ手術により歯石や汚れをしっかりと取り除いたあと、失われてしまった骨の部分にリグロスを塗布することにより骨と歯周組織の再生を図る方法で、現在は大学病院を中心に取り扱われています。

    一般の歯科医院ではまだこの薬剤を導入している医院はほんのわずかですが、当院はいち早く診療に取り入れ、歯周病治療に活用しております。

     

    エムドゲイン(自由診療)

    歯を守り、残す治療

    エムドゲインとは、豚の歯胚組織からつくられたタンパク質を主成分とする歯周組織再生材料です。

    治療方法は記リグロスとほぼ同様で、フラップ手術により歯石や汚れをしっかりと取り除いたあと、失われてしまった骨の部分にエムドゲインゲルを塗布することで骨の再生を図ります。

    エムドゲインは世界の約40ヶ国以上で使用されている安全性の高い材料で、2002年には日本でも厚生労働省の認可を受けておりますが、保険の適用が認められていないため、自由診療での治療になってしまいます。

    当院では、保険が適用されるリグロスを主におススメしておりますが、リグロスはまだ新しい治療であることから実績などのデータも不十分であるため、患者さまとよく相談しながら治療法を決定するようにしております。

     

    深い虫歯の場合

    歯を守り、残す治療

    虫歯が進行し、根っこの部分しか歯が残されていない状態になってしまうと、一般的には抜歯が必要と判断されます。それは、歯のふちが歯茎の中に埋まってしまっている状態では適合性の良い被せ物が作れなかったり、また無理やり作ったとしてもすぐに根っこが割れてしまい、すぐに抜歯が必要になってしまうからです。

    ですがそのような場合でも、「歯のふちを歯茎より上に持ってくる処置」を行うことが出来れば、歯を残せる可能性は十分にあります。

    歯のふちを歯茎よりも上に持ってくる処置については、主に「歯冠長延長術(クラウンレングスニング)」という方法と、「矯正的挺出(エキストルージョン)」という方法がありますが、症例によってどちらの方法を選択すべきか、もしくは両方を併用すべきか、見解が異なりますので、まずは歯科医師にご相談ください。

     

    歯冠長延長術(クラウンレングスニング)

    歯を守り、残す治療

    歯の周りの骨を削って歯茎を下げることで、歯のふちを歯茎より上に出していく処置です。

    歯茎が下がってしまうという問題点もありますので一般的には奥歯の治療で用いられることが多く、前歯で行う際は下記の矯正的挺出(エキストルージョン)と併用して行うことがほとんどです。

    また、一般的にクラウンレングスニングを行った場合は根面カリエス(露出した歯の根っこの部分にできる虫歯)になりやすいと言われておりますが、適合の良いかぶせ物でしっかりと覆ってあげることでそのリスクも下げることができます。

    とはいえ、まったくリスクがないわけではありませんので、定期的に歯科医院に通ってメンテナンスを受けるとともに、術後の経過観察をしてもらうようにしましょう。

     

    矯正的挺出(エキストルージョン)

    歯を守り、残す治療

    部分的な矯正で歯を引っ張りあげてることで、歯のふちを歯茎より上に出していく処置です。歯茎を傷つける事がありませんので審美性を保つことができます。

    歯を引き上げるための装置を一定期間口の中に装着しなければいけませんので、治療期間が長くなってしまうという問題もありますが、治療期間中は仮歯をいれて見た目に支障がないよう配慮いたしますので、普段通りの生活を送っていただけるかと思います。

    ただし、治療後も引っ張り出した歯が戻らないように固定する期間が必要ですので、治療スケジュールについて担当の歯科医師としっかりと確認するようにしましょう。

    当院では、矯正認定医のドクターと連携を取って治療を進めさせていただいております。

     

    根の先に膿が溜まり、骨が溶けている場合

    歯を守り、残す治療

    歯の根の先に膿が溜まっている状態を「歯根嚢胞」と言います。これは、神経が自然に死んでしまったり、不適切な根の治療により歯の内部で細菌が繁殖してしまうことによって起こるものです。

    この膿の袋は徐々に広がり、周りの骨も溶かして行ってしまうため、根の治療をしても痛みや膿が止まらない場合は抜歯が必要と判断されます。

    ですがこの場合、根管内の細菌を残さず除去し、膿を取り除くことが出来れば、歯を残すことが可能な場合があります。

     

    根管治療

    歯を守り、残す治療

    死んで腐ってしまった神経や細菌によって汚染された根の中をキレイに消毒してから薬で密閉し、細菌の繁殖を抑える治療です。

    歯の根っこの管は細くて暗く、肉眼で確認できるものではありません。従来の、経験と勘による手探りの治療では限界があるのです。

    当院では根管治療を行う際には拡大鏡やラバーダム、必要に応じてマイクロスコープも使用し、しっかりと目で確かめながら歯根の先端まで確実に殺菌消毒しております。

     

    歯根端切除術

    歯根端切除術とは、歯茎の外側からメスを入れ、感染した根の先の部分を根こそぎ取り除く方法です。

    根管の形が湾曲しているため根っこの先まで器具が届かず清掃できないような状態の場合や、嚢胞があまりにも大きいなど、根管治療が難しい場合に行う治療法です。

    スイスのベルン大学の実験報告では、歯根端切除術の際にマイクロスコープを用いることで、治療の成功率が、約60%だったものが 約90%まで上昇したとの報告もあります。

    しかしながら、歯根端切除術は外科手術であるため、手術前にはCT撮影をし、位置や状態を十分に確認したうえで行う必要があります。 また、外側からのアプローチとはいえ、骨の中の非常に見えにくい部分を治療するためマイクロスコープでしっかりと確認しながら治療を進めることが必要です。

    根管治療

     


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